HS-2000: DOE化手法の比較: アームモデルのスタディ
異なる手法を用いてDOEをセットアップする方法について学習し、精度と効率の観点で手法を比較します。


- 形状入力変数
- Length1:Lower Bound = -0.5, Initial Bound = 0.0, Upper Bound = 2.0
- 出力応答
- 体積(ベース設計体積 1.7667e6 mm3)
異なるパラメータスクリーニングDOEからの結果をスタディします。各スクリーニングについて、Max_stress出力応答で得られた結果のみが、パレートプロット、交互作用および序列法表示を用いて確認されます。
- 完全実施要因は、優れた解像度を与えますが、極めて多数の実行を必要とします。
- 解像度IIIでの一部実施要因は、主効果が交互作用と交絡し、交互作用が大きい場合は結果は不正確となります。
- 解像度IVでの一部実施要因では、主効果は交絡されませんが、交互作用は互いに交絡されます。
- 解像度Vでの一部実施要因では、主効果と交互作用は交絡されません。
スタディのセットアップの実行
本チュートリアルでは、すでにモーフィングされているモデルからスタートします。これらの形状変数はHyperStudyにエクスポートされ、テンプレートが作成されています。
- HyperStudyを開始します。
-
以下の方法で新規スタディを開始します:
- メニューバーから、 をクリックします。
- リボン上で
をクリックします。
- Add Study(スタディの追加)ダイアログでスタディの名前を入力し、スタディの場所を選んでOKをクリックします。
- Define Models(モデルの定義)ステップに進みます。
-
パラメータ化ファイルモデルを1つ追加します。
-
Import Variables(変数のインポート)をクリックします。
HyperStudyは、arm_model.tplリソースファイルから9つの入力変数をインポートします。
- Define Input Variables(入力変数の定義)ステップに進みます。
- 入力変数の下限値と上限値を確認します。
ベースランの実行
- Test Models(モデルをテスト)ステップに進みます。
-
Run Definition(計算実行)をクリックします。
スタディのDirectory(ディレクトリ)内に、approaches/setup_1-def/ディレクトリが作成されます。approaches/setup_1-def/run__00001/m_1には、ベースランの結果である入力ファイルが含まれます。
出力応答の作成と評価
ここでは3つの出力応答:Max_Disp、Max_Stress、Volumeを作成します。
- Define Output Responses(出力応答の定義)パネルに進みます。
-
Max_Disp出力応答を作成します。
-
Max_Stress出力応答を作成します。
-
Volume出力応答を作成します。
-
スタディディレクトリ内の結果ファイル内のサイズを最小限にします。
- Data Sources(データソース)タブをクリックします。
- Displacement (Grids) MAGおよびElement Stresses (3D) vonMises (2D & 3D)データソースについて、Retain(保持)チェックボックスからチェックマークを外します。
図 8.
- Evaluate(評価)をクリックして出力応答値を抽出します。
完全実施要因DOEの実行
このステップでは、完全実施要因DOEを作成し、形状変数を2つの水準で設定します。
-
DOEを追加します。
-
スタディ仕様を定義します。
-
タスクを評価します。
- ステップに進みます。
-
Pareto Plot(パレートプロット)タブをクリックし、完全実施要因DOE(512回のラン)について得られたパレートプロットを確認します。
パレートプロットは、出力応答に及ぼす設計変数のランク付けされた影響(高いほうから低いほうへ)を示します。
Max_stressについて、5つの長さが最も大きい影響、3つの半径が最も小さい影響です。破線の傾き(正または負)は、応答への変数の正または負の影響を示し、length_4、length_2、length_5およびlength_3は負の傾きとなっています。これは、これらの変数が大きくなると、Max_stressが減少することを表します。一方、length_1は傾きが正で、これは、length_1が大きくなるとMax_stressも増大することを示しています。図 11.
-
Interactions(交互作用) タブをクリックし、入力変数間の相互作用をプロットします。
交互作用は、別の変数の異なる水準における出力応答に同じ効果を与える、ある変数の不備を示します。交互作用は、正または負のいずれかであり得ます。交互作用プロットは、交互作用がない場合は平行なラインを示します。交互作用が大きいほど、ラインは平行からかけ離れます。Max_stress出力応答に着目すると、一部の交互作用が極めて小さいことが分かります。length_5やlength_4のように、真の交互作用をもつケースも見られます。出力応答Max_Stressへの変数length 4の影響は、length 5の値にかかわらず同じ方向ですが、length 5が大きい場合は、影響(大きさ)は遥かに重要となります。
図 12. Max_Stressのlength_5とlength_4間の交互作用
図 13. Max_Stressのlength_5とlength_4間の交互作用はなし
-
Ordination(序列法)タブをクリックし、主要コンポーネント解析の結果を確認します。
ヒント: 3D Scatter(3D散布図)タブが有効でない場合、
(ShowタブまたはHideタブ)をクリックし、標準タブから3D Scatter(3D散布図)
バイプロット内の各入力変数と出力応答は、1つのラインで表されています。同じ方向を指すライン群は強い相関性を有します(ラインが同じ方向の場合は正、反対方向の場合は負)。lengths_2、3、4、5は体積値に最も寄与し、heightとlength_1で構造パフォーマンスを最も向上させています。図 14.
解像度IIIでの一部実施要因DOEの実行
本ステップでは、先の完全実施要因DOEと同じ水準の一部実施要因DOEを解像度IIIでセットアップします。
交互作用のいずれもONに切り替えず、2つの水準を有した9つの入力変数を使用すると、12回のランから成る一部実施要因となります。
-
DOEを追加します。
-
スタディ仕様を定義します。
-
タスクを評価します。
- ステップに進みます。
- Evaluate Tasks(計算実行)をクリックします。
- ステップに進みます。
-
Pareto Plot(パレートプロット)タブをクリックし、一部実施要因III DOE(12回のラン)について得られたMax_Stressのパレートプロットを確認します。
完全実施要因からのパレートプロットと比べて、いくつかの相違点が見られます。
変数のランクが同じではありません。たとえば、完全実施要因ではlength_4が最も影響の大きい入力変数である一方、一部実施要因ではlength_2が最も大きい影響を与えています。
length_5の影響は小さくなっており、3つの半径の影響、特にradius_3とradius_1の影響はかなり大きくなっています。図 16. 完全実施要因
図 17. 一部実施要因III
-
Interactions(交互作用) タブをクリックし、入力変数間の相互作用をプロットします。
Max_stressのlength_1とlength_3間の交互作用を比較します。完全実施要因からの結果と一部実施要因からの結果はかなり違っています。完全実施要因は真の交互作用を確立している一方で、一部実施要因IIIは不正確に交絡された交互作用を検知しています。
図 18. 完全実施要因
図 19. 一部実施要因III
-
Ordination(序列法)タブをクリックし、一部実施要因IIIから得られた主要コンポーネント解析結果を確認します。
完全実施要因では、 length_2、length_3、length_5がVolume出力応答と相関性をもつことが見てとれます。一部実施要因IIIでは、相関性が明瞭ではありません。一部実施要因IIIでは、length_2、length_3、length_5およびVolumeを表すライン群が、完全実施要因でのそれらと比べて共線的ではありません。
図 20. 完全実施要因
図 21. 一部実施要因III
解像度IVでの一部実施要因DOEの実行
本ステップでは、解像度IVで一部実施要因DOEのセットアップを行います。交互作用のいずれもONに切り替えず、2つの水準を有した9つの入力変数を使用すると、24回のランから成る一部実施要因となります。
-
DOEを追加します。
-
スタディ仕様を定義します。
- ステップに進みます。
- ワークエリア内でMode(モード)をFractional Factorial(一部実施要因)にセットします。
- Settings(セッティング)タブで、Resolution(解像度)をIVにセットします。
- Apply(適用)をクリックします。
-
タスクを評価します。
- ステップに進みます。
- Evaluate Tasks(計算実行)をクリックします。
- ステップに進みます。
-
Pareto Plot(パレートプロット)タブをクリックし、一部実施要因IV DOE(24回のラン)について得られたMax_Stressのパレートプロットを確認します。
完全実施要因からの結果と比べると、ランキングでlength_2とlength_4の位置が入れ替わっていますが、その他の情報はきわめて似ています。
図 22. 完全実施要因
図 23. 一部実施要因IV
解像度Vでの一部実施要因DOEの実行
本ステップでは、解像度Vで一部実施要因DOEのセットアップを行います。交互作用のいずれもONに切り替えず、2つの水準を有した9つの入力変数を使用すると、128回のランから成る一部実施要因となります。
-
DOEを追加します。
-
スタディ仕様を定義します。
- ステップに進みます。
- ワークエリア内でMode(モード)をFractional Factorial(一部実施要因)にセットします。
- Settings(セッティング)タブで、Resolution(解像度)をVにセットします。
- Apply(適用)をクリックします。
-
タスクを評価します。
- ステップに進みます。
- Evaluate Tasks(計算実行)をクリックします。
- ステップに進みます。
-
Pareto Plot(パレートプロット)タブをクリックし、一部実施要因V DOE(128回のラン)について得られたMax_Stressのパレートプロットを確認します。
両方のDOEから得られた結果は同じですが、一部実施要因Vの実行数は完全実施要因の実行数の1/4でしかありません。
図 24. 完全実施要因
図 25. 一部実施要因V
-
Ordination(序列法)タブをクリックし、一部実施要因Vから得られた主要コンポーネント解析結果を確認します。
完全実施要因からの結果と一部実施要因Vからの結果の間には違いがありません。
図 26. 完全実施要因
図 27. 一部実施要因V
比較
スクリーニングされた出力応答の結果を4つのDOE手法についてまとめてあります。
本チュートリアルではMax_Stress出力応答に着目しましたが、すべての出力応答について同じ手順が適用されるべきです。
完全実施要因 | 一部実施要因V | 一部実施要因IV | 一部実施要因III | |
---|---|---|---|---|
実行の数 | 512 | 128 | 24 | 12 |
Max_Stress | Remove all radii and height | Remove all radii and height | Remove radii 1, 2 and height | Remove radius 2 and height |
Max_Disp | Remove all radii | Remove all radii | Remove all radii | Remove all radii |
Volume | Remove all radii | Remove all radii | Remove all radii | Remove all radii |
Conclusion | Remove all radii | Remove all radii | Remove radii 1 and 2 | Remove radius 2 |