OS-T:1520 ラック&ピニオンギアモデルの有限スライディング
本チュートリアルは、ラック&ピニオンギアモデルの有限スライディング解析を実施する手順を示します。円形のギアはピニオンと呼ばれ、その歯が、ラックと呼ばれる平板状の棒の歯とかみ合っています。

微小スライディング解析では、メイン(旧称“マスター”)とセカンダリ(旧称“スレーブ”)との間の相対スライディングが比較的小さいだけでなく、接触の検索はシミュレーションの初めにのみ行われます。一方、有限スライディング解析では、解析のインクリメント毎に接触の検索が更新されます。この場合、シミュレーションの間を通して円形ギアはラック全体と接触していなくてはならず、したがって、全体の動きを捕捉するためにはインクリメント毎に接触のステータスが更新される必要があり、そのため、有限スライディングが必須となります。
本チュートリアルは、円形ギアとラックとの有限スライディング接触を定義するための手助けとなります。ギアは全自由度で中央位置に固定されており、ラックはx自由度で変位を与えられる一方、その他の全自由度で拘束されています。拘束および強制変位はすべて、モデル内で定義されています。セカンダリ面とメイン面を定義するためのセットセグメントもまた、モデル内で予め定義されています。接触が確立される前に、剛体の動きが安定するのを助けるため、この接触について接触安定化が定義されています。解析終了時に起こり得る一時的な不安定性を克服するために、微小な終了時サブケース安定化も指定されています。
HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定
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HyperMeshを起動します。
User Profilesダイアログが現れます。
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OptiStructを選択し、OKをクリックします。
これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。
モデルのオープン
- をクリックします。
- 自身の作業ディレクトリに保存したfinite_sliding.hmファイルを選択します。
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Openをクリックします。
finite_sliding.hmデータベースが現在のHyperMeshセッションに読み込まれます。
モデルのセットアップ
材料特性の確認
インポートされたモデルには、予め定義された大量の情報が含まれており、これらによって私たちは、本チュートリアル内の有限スライディングセクションに焦点を当てることができます。円形ギアとラックについて、すべての材料とプロパティは定義済みです。スティールの材料特性が、両方のコンポーネントに割り当てられます。
- Model BrowserのMaterialsフォルダーでsteelを右クリックし、context menuからCard Editを選択します。
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steelの材料プロパティについて、MAT1バルクデータエントリが図 2に示すとおり入力されていることを確認します。
弾性のヤング率 = 2.1 x 105 N/m2
ポアソン比= 0.3
図 2. 材料の確認 - Steel
- returnをクリックし、確認を完了します。
セットセグメントの確認と有限スライディング接触の生成

- パネル領域でAnalysisページに進み、set segmentsをクリックして、既に作成されているセットセグメントを確認します。
- solid facesサブパネルに入ります。
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ラックの接触サーフェスの確認
- nameをクリックします。
- rackを選択します。
- reviewをクリックします。
図 4. ラックのセットセグメントの確認
- ギアのセットセグメントの確認
- returnをクリックし、Control Cardsパネルを終了します。
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セットセグメントを作成します。
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接触面を確認するために、reviewをクリックします。
図 6. 接触面の確認
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セットセグメントを編集します。
- card imageサブパネルに入ります。
- editをクリックし、接触面を編集します。
- TYPEをSLIDEに設定します。
- DISCRETをS2Sに設定します。
- TRACKをFINITEに設定します。
摩擦なしのサーフェス間有限スライディング接触が定義されました。図 7. S2S有限スライディング接触定義
- returnをクリックし、interfacesパネルを終了します。
パラメータ、接触出力定義および荷重ステップ定義の確認
有限スライディング接触の場合、大変位定式をアクティブにする必要があります。
- control cardsパネルをクリックしてパラメータを確認し、LGDISPをオンにします。
- nextを2回クリックし、PARAMを選択します。
- PARAM, LGDISPがto1にセットされていることを確認します。
- returnをクリックします。
- GLOBAL_OUTPUT_REQUESTをクリックします。
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CONTFが選択されていることを確認します。
注: CONTFは、接触の圧力、ギャップ貫通、スライディング距離など、接触の出力結果を与えます。
- returnを2回クリックし、Control Cardsパネルから抜けます。
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loadstepsパネルをクリックし、定義済みの荷重ステップを確認します。
SPC荷重およびNLPARM荷重ステップ入力が定義され、解析は、非線形静解析であるはずです。SPC荷重は円形ギア上の固定された拘束およびラック下部の強制変位を指しています。NLPARM荷重ステップ入力は非線形パラメータを定義します。
ジョブのサブミット
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AnalysisページからOptiStructパネルをクリックします。
図 8. OptiStructパネルへのアクセス
- save asをクリックします。
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Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてrack_pinionと入力します。
OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
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Saveをクリックします。
入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
- export optionsのトグルをallにセットします。
- run optionsのトグルをanalysisにセットします。
- memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
- OptiStructをクリックし、OptiStructジョブを開始します。
結果の表示
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コマンドウィンドウにProcess completed successfullyというメッセージが現われたら、 HyperViewをクリックします。
HyperViewが起動され、結果が読み込まれます。HyperViewにモデルと結果が正しく読み込まれたことを示すメッセージウィンドウが現われます。
- 現れたら、Closeをクリックし、メッセージウィンドウを閉じます。
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ツールバー上で
(Contour)をクリックします。
- Result typeの下で、1つ目のドロップダウンメニューからDisplacement (v)を選択します。
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2番目のドロップダウンメニューの下でXを選択します。
図 9. HyperViewでの変位(v)プロット
図 10. HyperViewのContour plotパネル
- オプション:
HyperViewのSet Transient Animation Modeを用いて、結果をアニメーション表示します。
図 11.
- オプション: Contour panelでother result typesを選択し、Applyをクリックします。