MV-2040:空力荷重下の前尾翼アクチュエーター機構
本チュートリアルでは、圧力 /分散荷重をCMS弾性体上のモーダル荷重として表現し、MotionView/MotionSolveでモーダル荷重を物理荷重にスケーリングする方法について学習します。
弾性体に作用する荷重は、空力荷重、液体圧、熱荷重、電磁力、または、非均一な減衰や粘弾性のような弾性体全体に及ぶ荷重などが考えられます。2つのボディ間の接触力ということもあり得ます。これらの分散した荷重は、節点からモーダル領域に変換し、モーダル荷重として表すことが可能です。
を弾性体のモード形状、
を弾性体にかかる節点荷重と定義すると、その弾性体
上の同等のモーダル荷重はのように定義されます:

本演習では、OptiStructを使って、空力荷重を伴う航空機の前尾翼の弾性体を作成します。1 atm pressureで気流速度200m/secにおける前尾翼の3つの動作位置-10 deg、0 deg、10degの空力荷重が、AcuSolveを使ったCFDシミュレーションから用意されています。演習の後半では、MotionSolveでこの弾性体をアクチュエーター機構に埋め込み、前尾翼の動作に必要とされるアクチュエーターの荷重を見積もります。 図 1. 航空機の前尾翼


前尾翼弾性体の作成
このステップでは、前尾翼弾性体を作成します。
- HyperMeshでユーザープロファイルにOptiStructを選択し、ForeCanard.hmを開きます。
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モデルを確認します。
図 2.
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CSVファイル群から空力荷重を作成します。
前尾翼のサーフェス全体の平均圧力分布は、AcuFieldViewからテキストとしてエクスポートされています。このファイルには、圧力の位置と値が含まれます。AerodynamicLoad_0deg.csv、AerodynamicLoad_Negative10deg.csv、AerodynamicLoad_Positive10deg.csvファイルはそれぞれ、0deg、-10 deg、10 degの前尾翼の向きの圧力分布情報を含んでいます。これらの3つのケースに荷重コレクターを追加:
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Pressure loadパネルをブラウズします。
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圧力荷重タイプをlinear
interpolationに設定します。
これで、圧力荷重のかかる要素と圧力荷重情報についてのCSVファイルを選択できるようになりました。
図 11. -
前尾翼のサーフェスに圧力荷重を作成します。
各位置の圧力荷重は、前尾翼の位置に対してMotionSolveでスケーリングできるよう、それぞれの荷重コレクターの下に作成されます。
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CMS法のために荷重セットを指定します。
先の手順でモデル化された3つの荷重ケースは、節点力を表します。これらの節点力は、CMS法を用いてモーダル荷重に変換されます。このステップでは、既存のCMSMETHが3つの荷重セットを含むように修正します。
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CMS法のために荷重セットを指定します。
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弾性体を生成:
モデルは、弾性体を生成して解析する準備が整っています。弾性体生成に必要な2つのコントロールカードは既に、モデル内に指定されています。
MotionViewモデルの作成
このステップでは、前尾翼にMotionViewモデルを作成します。
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MotionViewでForeCanard_Model.mdlを開きます。モデルを確認します。
モデルには、以下の要素が含まれます:
- Fore Canard、Torque Arm、Piston、Cylinderと名付けられた4つのボディ。
- 1 Hzでピストンを25mm前後させる式0.025*SIN(2*PI*TIME)のピストン上の強制運動。このピストンの強制運動は、前尾翼の角度位置を-9.619 degから+9.984 degの間で変化させます。
図 35.
- “ForeCanard angular position”および“Piston force along its axis”を求めるexpressionタイプの出力リクエスト。前尾翼の角度位置は、式`RTOD({j_4.AZ})`を使用して、RevJnt_TorqueArm_Gndジョイントの回転角度から求められます。ピストン荷重は、式`MOTION({mot_0.idstring},{0},{4},{j_2.i.idstring})`を使用して、ピストンの強制運動から求められます。
図 36.
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剛体前尾翼のモデルを解析し、空力荷重なしでのピストン荷重を確認します。
- MotionViewに戻ります。
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剛体前尾翼を弾性体に切り替えます。
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Modal Forceエンティティを介して空力荷重をモデル化します。
空力荷重は、前尾翼の3つの動作位置10 deg、0deg、10degで推定されます。各圧力荷重が±10degの間隔で、0から1のスケールで線形的に変化すると仮定します。この空力荷重の変化は、式を使って、前尾翼の角度に対しモーダル荷重をスケーリングすることで行われます。
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ModalForceパネルで設定を行います。
モデルの解析とポスト処理
このステップでは、弾性体で前尾翼を実行し、その結果をポスト処理します。
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(Run)パネルアイコンをクリックします。
- MotionSolveのファイル名をForeCanard_withAeroloads.xmlと指定します。
- Simulation typeにQuasi-static、End timeに1秒、Print intervalに0.01と指定します。
- Runをクリックします。
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シミュレーションが完了したら、Animateボタンをクリックし、HyperViewでアニメーションを確認します。
(Start/Pause Animation)ボタンを使って、アニメーションを再生します。
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(Contourパネル)ボタンをクリックします。
- ContourパネルのResult typeの下でStress (t) を選択し、Applyをクリックします。
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これで、応力のコンターが表示されます。
図 51.
- MotionView runパネルでPlotをクリックし、ForeCanard_withAeroloads.abfファイルをHyperGraph 2Dに読み込みます。
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表 4および表 5で指定された情報を選択することにより、ピストン荷重vs.前尾翼の角度位置をプロットします。
表 4. X-axis Data X Type Expression X Request REQ/70000000 Fore Canard Angular Position (deg)F2, Piston Force (N)F3 X Component F2 表 5. Y-axis data Y Type Expression Y Request REQ/70000000 Fore Canard Angular Position (deg)F2, Piston Force (N)F3 Y Component F3 図 52.
注: 空力荷重ありとなしのプロットを重ね合わせて、ピストン荷重の差を見比べます。図 53.