RD-E:4400 AMSを用いたブロー成型
ブロー成型がアドバンストマススケーリング(AMS)で行われます。
この例題の狙いは高い品質の時間ステップコントロール、アドバンストマススケーリング(AMS)を導入することです。時間ステップはRadiossで計算されます。小さな要素サイズは小さな時間ステップをもたらし、それ故、多くのCPUソースを占有します。時間ステップの増加には時間ステップコントロールを用いることができましたが、古い時間ステップのオプションの使用は、例えば質量または運動エネルギーを増加させます。その増加量が十分に小さくない場合にそれは解に影響を与えますが、高い-品質の時間ステップコントロールAMSでは、非対角質量が付加されることにより、併進の全体加速度への慣性効果に変化はありません。AMSで古い時間ステップコントロールの場合と同様の結果を得ることができますが、ずっと少ない計算時間にすることができます。
使用されるオプションとキーワード
- アドバンストマススケーリング(/AMS)
- アドバンストマススケーリング用の時間ステップ(/DT/AMS/Iflag)
- TYPE7 インターフェース(/INTER/TYPE7)
型とプラスチックパリソンの間にはTYPE7インターフェースが摩擦係数0.7で定義されます。
- 粘弾塑性区分線形材料則(/MAT/LAW66)
- シェルプロパティ(/PROP/TYPE1(SHELL))
- レイリー減衰(/DAMP)
- 剛体(/RBODY)と境界条件(/BCS)
2つの型は、剛体を用いてすべての回転方向と併進のy方向とx方向が固定されます。z方向(併進)のみが自由です。
- 強制変位(/IMPDISP)
2つの型は、強制変位で反対方向に移動します。
- 圧力荷重(/PLOAD)プラスチックパリソンへの空気圧は内側から外側への圧力荷重/PLOADを用いてモデル化されます。
入力ファイル
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モデル概要
中空のプラスチックパリソン(チューブ状)が成型されます。その時、パリソンは型に固定され、ポンプで空気が内部に注入されます。ここでは、空気圧力をモデル化するために圧力荷重が使用されます。それがプラスチックを外側に押すことで型にはまります。パリソンの寸法は30mmの円筒で板厚2mmです。型の寸法は207mm x 120mmでその板厚は1.0 mmです。
単位: mm、s、Mg、N、 MPa
弾性モデル(/MAT/ELAST)を用いた型の材料は、以下の特性を有します:
- 材料特性
- 値
- 初期密度
- 7.8e-9 Mg/mm3
- ヤング率
- 200000
- ポアソン比
- 0.3
粘弾塑性区分線形材料(/MAT/LAW66)を用いたプラスチックパリソンは、以下の特性を有します:
- 材料特性
- 値
- 初期密度
- 1e-9 Mg/mm3
- ヤング率
- 4
モデリング手法
AMSを用いたブロー成型は以下のようにモデル化されます:
- Starterで/AMSを定義します。AMSを用いるパートグループを選択します。パートグループが指定されていない場合、モデル全体がAMSを用います。
- Engineで/DT/AMSを使用します。例えば:
/DT/AMS 0.67 1.15e-4
結果
以下の図にプラスチックパリソンの塑性ひずみ、フォンミーゼス応力を示します。
パフォーマンス
AMSテクニックを用いることにより、このケースではCPU時間がおよそ1/3に減少しています。
以下にいくつかのテストとの結果の比較を示します:
- 時間ステップコントロールなし(マススケーリングなし)
- 通常のマススケーリング/DT/NODE/CST
- AMS
時間ステップコントロールなし | 通常のマススケーリング/DT/NODE/CST | AMS | |
---|---|---|---|
時間ステップ | 1.15e-4 | 0.34e-04 | 1.15e-4 |
全サイクル数 | 78200 | 24280 | 6966 |
CPU時間(秒) | 2027.82 | 723.02 | 522.83 |
スピードアップ | - | 2.80 | 3.88 |
結果の品質 | - | 悪い | 良い |
時刻0.4秒での結果は、AMSでは、節点マススケーリングのマススケーリングのない場合との比較と同じスピードアップの倍率で、より正確な結果が得られることを示しています。
まとめ
CPUを1/3に節約する結果を得るためには、目標時間ステップはAMSを用いない場合のおよそ10倍に大きくするべきです。AMSの取り扱い自体である程度のCPUコストが発生します。
通常のマススケーリングテクニックでも3倍の計算スピードアップを得ることができますが結果の品質に影響を与えます。
一般的に、与えられたスピードアップに対するAMSテクニックは、通常のマススケーリングよりもより正確な結果を返します。
AMSテクニックは、全質量を変更せず、質量は質量マトリックスの非対角項にのみ付加されます。
これはモデル全体に適用できます。
併進全体加速度の慣性効果に変化はありません。
注:
- 結果の精度で、応力とひずみに関しては、通常影響はありません。AMSは、AMSが作用された構造の固有モードに影響を与えています。高次の周波数は低下します。
- AMSテクニックは非常にスケーラブルで、大きなモデルでも十分なスピードアップの倍率を示すことができます。